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【読書感想】『シャーロック・ホームズの護身術 バリツ: 英国紳士がたしなむ幻の武術』

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 シャーロック・ホームズの護身術 バリツ: 英国紳士がたしなむ幻の武術
 バートン・ライト 著 / 田内志文 訳 / 新美智士 監修
 出版社:平凡社
 発売日:2024/03/22

 
 シャーロック・ホームズの護身術バリツ Kindle版
 

世界初の総合格闘技

 言わずと知れた世界的推理小説シリーズ「シャーロック・ホームズ」。その中でホームズが心得を持っていたとされる格闘術が「バリツ」なのだが、シャーロキアンならずとも聞いたことがあるという人も多いだろう。
 本書は、「バリツ」の元ネタとされる幻の護身術「バーティツ」の確立者バートン・ライトの著作の復刻&新翻訳版である。
 そもそもバーティツとは、19世紀末に日本で過ごした著者が学んだ柔術をもとに、ボクシングやサバットなどの要素を取り入れたマーシャルアーツだ。本書はその技の概要や状況に応じた対応方法のほか、訳者・監修者による歴史と解説も付されており、バーティツの基本書にして決定版となっている。
 私自身も長らく古武道を嗜んでいるが、本書に掲載されている柔術や棒術はどれも各流派ではオーソドックスなものばかりだという印象を受けた。しかしそれがイギリスの文化的社会的背景に取り入れられると、独特のアレンジになることが感じられ興味深かった。
 バーティツ自体は、第一次世界大戦の勃発や著者の破産などもあって次第に衰退していった。だが2002年以降、国際的な協会の結成やドキュメンタリー番組制作、小説や漫画、ゲームやアニメでも言及されるなど、再び脚光を浴びている。

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